いやぁ、まさかお調子者で人を笑わせるのが大好きな俺が、
仕事中ぐらいは真面目にやろうと寡黙に黙々とやってきた俺が、
まさかこんなに嫌われた対応を受けるとは思っていなかった。
事の始まりは、
スキルマッチしていないのに運用保守のチームリーダーとなった事だ。
前任者の時から高稼働が続いており残業はいつも22時を超えるのが当たり前になっていた、そうだ。
まずは、属人化して手順書に記載されていない作業を手順書として起こしていく事をした。
これでタスクの均一化を図り作業者がパンクしないようにした。
そして、作業タスクを手順書にした事で、WBS上に細かくその日やるべきタスクを記載していった。
これで作業漏れが防げるようになった。
しかし、弊害もあった。
未だに手順書化やマクロ化できていない作業を抱えている作業者がおり、
何人日かかる作業なのか把握ができず作業ボリュームの把握すらできず、その時間もないままに前任者は離任していった。
これが、まずかった。
作業の見積もり通りでは進まず、
彼らの持っている属人化したタスクのスケジュールに従わなくてはならなくなった。
私は進捗管理と、顧客への進捗報告に日々時間を奪われていた。
多重下請け構造の末端構成員は、
一つ上の会社に対して進捗報告するだけではない。
なんと、五次受けなら四次受けに進捗報告をし、
その後、四次受けから許可を貰った五次受けは三次受けに進捗報告を行う。
その後、三次受けから許可を貰った五次受けは二次受けに進捗報告を行う。
その後、二次受けから許可を貰った五次受けは一次受けに進捗報告を行う。
その後、一次受けから許可を貰った五次受けは顧客報告の場に「一次受け会社の〇〇です!」と挨拶をしてスピーカーになり報告をしている。
この行為のために何枚も同じドキュメントを刷る、同じ報告をする。
時間も資源もトイレットペーパーも無駄になる。
しかし、五次受けは信用も実績もないので他社の名前を借りなければ誰も仕事をくれないので仕方ないのだ。
ならば、儲けの良い案件を大手ゼネコン以外が取るように努力すればいいのかというと、
そんな事したら一生村八分でこの業界から居られなくなる、と聞く。
多重下請け構造の末端構成員は永遠末端構成員として、
この無駄なフローを業務として繰り返す。
パフォーマンス改善のための対応もできぬまま、
進捗管理、進捗報告で毎日が過ぎて行く。
そんなこんなで、
私は現場管理を行っていた。
作業者からの要望を聞いて組み立てたWBSは、残業もなくて毎日終業前1時間は、
他人のおっ立てた糞の塔の設計書を追って把握したり、
オラクルや各機器のナレッジを追って勉強したりできた。
すると、
多重下請け構造の末端構成員の俺に上位受け会社からお説教を頂く。
「
そういう勉強は、
定時後残業して確認するか、
お昼休みに飯食いながら勉強するか、
早出して勉強するかしろ
勉強はしろ
定時内に勉強できるならタスク追加しろ
」
言われるままに追加した。
余裕がなくなり、仕事を周りにいるお願いして変わりにやって貰うことも増えた。
結果、業務を理解すること無くその日を乗り越える事だけに努める無能残業進捗管理おじさんができた。
そして、「いじめはいじめられている本人が気付かなければいじめではない」と、
尊敬していた仕事のできる先輩社員に聞こえるように言われながら、
俺だけお菓子の差し入れを飛ばされ、お昼ご飯に誘われなくなった。
昨日はそんなこんなで、
上からはタスクを詰めろと言われて、
下からはタスク詰めるなと言われて、
お腹痛くなってきて具合悪くなって定時にあがった。
その際に、いじめ先輩社員達皆もあがったので駅まで一緒に歩く事とした。
仕事が終われば無駄口叩かずのモットーはなくなり饒舌になりコミュニケーションを取ろうと考えたのだ。
先輩社員「ねぎし、言っちゃいます?」
同僚にそういうのが聞こえた。
たまには俺も同僚と飯を食べようかと思ったのだが、
「〇〇さんはどうして今日は一緒に歩いてるんだっけ?」と言われてとっさに、
「あぁ、はなまるうどんの天ぷら定期券で夕飯食べようと思って」と駅直前で彼等と道を違える事とした。
「〇〇さん、一緒に飯いきますよね?」
俺が誘うならこうだろう。
一緒に飯を食べることを前提とし、善とし、相手に問う。
なので、俺はもう全員から嫌われているらしいとわかった。
嫌われた原因はなんだ?
仕事がわからない無能は叩かれる馬鹿にされる、以前に自分もしたことがあるが人はそういうものだ。
その日のはなまるうどんはいつもより少し塩っぱかった。